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僕はこんなことを考えている はてな出張版

運営しているエッセイサイトのはてな出張版です。軽い読み物なのでお茶請け程度にいかがでしょうか?

映画評:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 

映画評 笑って☺娯楽映画

movie.walkerplus.com

映画評:大掛かりな自虐映画

こんな小話がある。
「君は何かというと金のことを口にするが、世の中には金で買えないものがある。君を信じる純真な友は金では買えないだろう」 
それに対し、男は答える。 
「確かに金では買えないが売るのは簡単だね」

これの何が面白いのだろうか?と思うのだが、調べたわけではないがアメリカ人にはまあまあのジョークらしい。
とは言え日本人の笑いもたいしたものでもないが、世界中で配信されるyoutubeでは、
日本のお笑い芸人のリズム芸がなかなか反響らしく、クールジャパンはサブカルチャー全般で、世界を席巻しているようだ。

笑いというものは結構難しくて、その人の生きていた環境や背景などがあって初めて笑いに成ることが多く、同時に笑いとは差別や区別などの、反社会的なものに根ざした場合もあるため、例えば日本特有の笑いの手法で、つっこみというものがあって、実際に人の頭を小突いたりすることで起きる笑いがあるのだが、お隣の韓国では人を殴るという行為自体に笑いが起きないそうだ。 
アメリカでも大阪NGKなどではしょっちゅうの下ネタなんかは受けないと聞く。
やはり文化というものが大きく笑いには関係しているようだ。 

笑いをもう少し掘り下げて、ジョークとユーモアという言葉を考えてみる。
僕が考えるにジョークは駄洒落に近く、ユーモアは知識を伴う洗練されたものというところだろうか。
例えばこんなユーモアがある。

「この前友達がブッシュが馬鹿だといったら警察に捕まったんだ」
「そりゃひどい!罪状はなんだったんだい」 
「国家機密漏洩だって」

本来はロシアのフルシチョフ政権時代にはやったものらしいのだが、大統領の悪口を言って、国家機密漏洩というところにシニカルな笑いが隠れている。 
ジョークとは違った知性を感じないだろうか?
しかし、これって日本人の僕からすると、感心はするが笑いにはならない。
笑わずに拍手をしてしまいそうである。 
一方ジョークは、大半が駄洒落に近いので、こちらも愛想笑いしか僕は出せない。

例えば昔よくパロディー映画というものがあった。
もともとの映画の有名なシーンだけを切り取って、笑いにするという映画なのだが、
これはジョークとして、その映画を観ていることが必須となる。

同じように、ブッシュのユーモアも、ブッシュ自体を理解していなければ、笑いにはならない。
そういった意味で、ユーモアは相手の知識に依存する部分もあって、知らない僕にとっては愛想笑いしか出ないわけである。


笑いというものは文化に比例している。
文化というものはそれこそ小さな学校の中のあるグループの笑いというものもあって、
かなり細分化されてしまうので、やはり共通となる笑いというものを作り出すのは難しい。
また笑いは他の文化と違って、鮮度が結構短いので、今は面白くても時代が経てば、
どこで笑うのかさえ分からなくなってしまう。

コメディ映画が名作として残りにくいのも、この鮮度の問題が大きいのかもしれない。

ということで、今回の映画は「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」である。 
バスター・キートンに憧れてマイケル・キートンと名づけた名優の、大掛かりな自虐映画である。
物語は昔「バードマン」という映画で一斉を風靡した俳優が、落ちぶれて再度舞台で再起を図るというもので、内容はシリアスだが、随所にシニカルな笑いがちりばめられている。
バスター・キートンといえば無声映画の時代にチャップリンと並ぶ名優だが、
映画の中で決して笑わず、悲しげな表情で笑いを作り上げていたことで有名だが、この映画もそういった、悲哀が本編にはある。 
主人公は時代に取り残されて、本当の演技力もなく、周りは問題が溢れている。 
そんなこれはこの世から消えようとすることで、再起を見出す。
逆説的に映画の世界を描くニヒリズムに、実際のマイケル・キートンの復活を見ることができるが、日本人の僕にはその笑いは分からない。
もっと言うと、落ちぶれることもできない人生を送ってきた僕には、この笑いが何の笑いなのかさえも分からない。

悲しみや、不安や怒りのような、人間が本来持つ負の感情さえも飲み込んで、
笑いというものは生まれる。
知識や区別、そして文化という、社会性を伴うものを利用して、笑いは花を咲かせる。
笑うという単純なことだが、なかなかに奥が深いものである。

多分「バットマン」が「バードマン」だったら、漫画も映画もヒットしてないような気がするのは僕だけでしょうか?

 

バッドマン以外のヒーロー映画もご紹介。

僕はこんなことを考えている「VIVAMOVIE」

http://zatta.sub.jp/doc/content.php?mode=birdman